CONCEPT
廃墟となった都市空間をエコロジカルに再生
静岡市の金融街の中心地で、静岡と海外や国内との商取引を支えてきた三菱商事社員寮が、社員寮としての使命を終了したのは昭和60年代の終わり。 雑居ビルへの転用が難しく、やがて廃墟同然に。2010年に全面取り壊す予定を一転させ、最小限の改修でスタイルあるアーティスト ロフトに再生しました。 昭和の歴史を感じさせる威風堂々としたビル外観をもち、内装も昭和モダニズムが溢れ、無駄な空間をたっぷりもつ余裕の建物です。
年を経るにつれて、グリーンが深くなる
ボタニカのネーミングは、庭園のような緑豊かな空間を願って。 モデルは、パリにある樹木に覆われたカフェ「エコール・ド・ボタニカ」。 建物全体の壁面に樹木や蔦類が植え込まれ、森に囲まれたよう。 年代を経るにつれて、グリーンが深くなり、味わいが出る場所です。
種がパチンと化合するまで
訪れる度に、どこかが変わっている。 ガラッと変わってしまう時も。 試行錯誤でもあり、理性がきかない部分でもあり、気まぐれでもある。 手にしたいのは、進化。センスと本質の種を追求しながら。
資材・家具もすべて、
静岡のどこかで誰かが使ったもの
重厚な建物にマッチさせた建材はすべて天然木材で、静岡のどこかで誰かが使っていたものを再利用しました。
殆どの家具も、その再生材を使った特注ものや、どこかで誰かが使っていたもの。ヴィンテージの椅子は、アーティストコレクションが揃います。「ここは過去、現在、未来をつなげる場所。たくさんの人々に見てもらい、関わってもらいたい」が、ボタニカからのメッセージ。
シェアオフィス・システム
シェア(分かち合う)システムは、江戸時代の職人長屋のシステム。
ボタニカはアーティスト、クリエーターの長屋です。
コミュニティの絆を第一に考え、垣根を築かない方策です。一戸一戸を完全個室化させない、隔てない。
カフェ、アートスペース、収納や洗面所など多くの共有スペースを設けています。そこは、長屋で言えば縁側や井戸端で、入居者同士はもちろん、訪問者、利用者とのシェアリングの場です。
時代の風
廃墟から再生した建物に、気ままで豊かで創造的な時代の風が、明日に向かって吹いている情景。